今回は一級建築士でも頻出の、部材断面に働く応力度を求める問題を2問実際に解いていきましょう。
実線問題①は記号によって一般化された問題、実線問題②は実際の数字を用いた問題で圧縮応力度と曲げ応力度を合わせた応力度を考えなければならない問題となっています。
問題を解くにあたって、断面係数や応力度についてわからない方はこちらから
実践問題①
図のように部材の先端に力を受ける構造体がある。
この部材のA点での圧縮応力度と曲げ応力度をそれぞれ求めなさい。
![](https://0gakublog.com/wp-content/uploads/2021/03/image64.png)
解答の手順
いきなり問題を解いていく前にまずどのような手順で問題を解いていくかを答えからさかぼって考えましょう。求めたいものは圧縮応力度と曲げ応力度なのでそれぞれ考えます。
【圧縮応力度を求める】
→ σ=N/Aの公式を使う
→ 断面積Aを求める
【曲げ応力度を求める】
→ σ=M/Zの公式を使う
→ 断面係数Zを求める
→ モーメントMを求める
このように圧縮応力度と曲げ応力度を求めていくためにはいくつかのステップを踏んでいく必要があることがわかります。
ステップごとに分けて考えることで、σ=M/Zの公式を使うところまではわかったけど、そもそもZを求めるっていうのが思いつかなかった、もしくはZを求めることはわかったけど、Zの求め方がわからなかったなどといった自分がこの問題において躓くポイントがわかりやすくなるのです。勉強を効率化させる上で重要ですので普段の学習からこのような方法で先に手順を考えて問題を解くようにしていきましょう。
また、問題を解く上でも、一度解くための手順を考えていまえば、あとはただの計算問題になり、計算ミスさえ気を付ければ解けるようになるのです。
計算
解答への手順がわかったので、あとは手順の通りに計算を進めていきます。
圧縮応力度
部材の断面積Aを求めます。
A=b × d=bd
次に軸力はNとわかっているので、σ=N/Aより
σ=N/bd となる。
曲げ応力度
次に曲げ応力度を求めていきましょう。
まずA点に働くモーメントを求めていきましょう。
A点周りのモーメントは
M=2P × L=2PL
断面係数Zは、Z=bh2/6より、
Z=bd2/6
σ=M/Zより、
σ=2PL/bd2/6
σ=12PL/bd2
したがって、圧縮応力度はN/A、曲げ応力度12PL/bd2となります。
実線問題②
図のように部材の先端に力を受ける構造体がある。
この部材のA点に働く圧縮縁での応力と引張縁での応力度を求めなさい。
![](https://0gakublog.com/wp-content/uploads/2021/03/image65.png)
解答の手順
実線問題②でも解いていく前にまずどのような手順で問題を解いていくかを答えからさかぼって考えましょう。今回は圧縮応力度と曲げ応力度を合算して考えなけらばいけないので注意が必要です。
A点では曲げによって圧縮応力度と引張り応力度が発生しています。圧縮側は軸力によってより圧縮され、引張り側では軸力によって引張り応力度が打ち消しあいます。
![](https://0gakublog.com/wp-content/uploads/2021/03/image69.png)
![](https://0gakublog.com/wp-content/uploads/2021/03/image70.png)
このように曲げ応力度と圧縮応力度を合算してあげればA点での応力度は求められるので、実践問題①と同じようにまずは圧縮応力度と曲げ応力度を求めて行きましょう。
圧縮応力度と曲げ応力度を合算するために
【圧縮応力度を求める】
→ σ=N/Aの公式を使う
→ 断面積Aを求める
【曲げ応力度を求める】
→ σ=M/Zの公式を使う
→ 断面係数Zを求める
→ モーメントMを求める
計算
解答への手順がわかったので、あとは手順の通りに計算を進めていきます。
圧縮応力度
部材の断面積Aを求めます。
A=300mm × 600mm=180000mm2
次に軸力は180KNなので、σ=N/Aより
σ=180000N/180000mm2
σ=1.0N/mm2となる。
曲げ応力度
次に曲げ応力度を求めていきましょう。
まずA点に働くモーメントを求めていきましょう。
A点周りのモーメントは
M=30kN × 1200mm=36000000N・mm
断面係数Zは、Z=bh2/6より、
Z=300mm × (600mm)2/6
Z=18000000mm3
σ=M/Zより、
σ=36000000N・mm/18000000mm3
σ=±2.0N/mm2
したがって、曲げによる圧縮応力度は2.0N/mm2、引張り応力度は2.0N/mm2となります。
A点での応力を求める
圧縮応力度と引張り応力度がそれぞれ求まったので、軸力による圧縮応力度と曲げによる圧縮応力度を足しあわせていきます。
圧縮応力度
![](https://0gakublog.com/wp-content/uploads/2021/03/image68.png)
曲げ応力度
![](https://0gakublog.com/wp-content/uploads/2021/03/image69-1.png)
組み合わせ応力度
![](https://0gakublog.com/wp-content/uploads/2021/03/image70-1.png)
それぞれを足し合わせると、
1.0N/mm2 ± 2.0N/mm2 = 3.0N/mm2, -1.0N/mm2
したがって圧縮側では3.0N/mm2、引張側では1.0N/mm2となる。
Point 組み合わせ応力度はσ=N/A ± M/Z
どうしても構造が苦手、沢山問題を解いて演習をしたいという方には以下の教材がお勧めです。
まとめ
【圧縮応力度を求める】
→ σ=N/Aの公式を使う
【曲げ応力度を求める】
→ σ=M/Zの公式を使う
→ 断面係数Zを求める(Z=bh2/6)
【圧縮応力度と曲げ応力度の合力】
→ σ=N/A ± M/Z を計算する
いかがでしたでしょうか?今回は圧縮応力度と曲げ応力度を求めて行きました。圧縮応力度と曲げ応力度を求める際に手順をしっかりと考えてから問題を解いていきましょう。合力を求める際にはそれぞれを求めてから計算をしていきましょう。部材が引張りと圧縮を受けているイメージがつくと合力も理解しやすいと思います。点を取りやすい問題なのでしっかりと理解していきましょうね。今回もありがとうございましたー!
コメント