今回は前回学んだ反力や応力の求めた方を使った実践問題を解いていきましょう。
応力の求め方を忘れてしまって方はこちらから
例題
下図のような架構がある。C点およびD点に生じる応力を求めなさい。
![](https://0gakublog.com/wp-content/uploads/2021/03/image36.png)
スパン長4m、高さ2mのラーメン架構です。いよいよ実践問題に挑戦ですね。
さっそく問題に取り掛かりたいところですが、その前にこのような計算問題を解くにあたって非常に重要な考え方を話していきます。
それは、問題の答えを解くために必要なことを逆算していくということです。
例えば名古屋から某ネズミーランドに電車で行きたいとします。
その時にとりあえず千葉の方に向かう電車に乗ればいいやとはならないですよね?
大体の人はまず目的地の駅を調べて、どこ駅とどこ駅で乗り換えるのか?なに線に乗ればいいのか?ということを調べていく思います。もちろん行き慣れてる人はそんなことをしなてもいいのかもしれませんが…
何が言いたいかというと、構造力学でも同じで、問題の答えを出す(目的地に行く)ために、なにを求める必要があるのか(どこで乗り換えないといけないか)?ということからが逆算して考えようということです。
今回の例題で実際に具体的な考え方を見ていきましょう。
(目的地) C点とD点のモーメントを求める
(乗り換え駅①)モーメントを求める→応力の釣り合い式から計算
(乗り換え駅②)応力の釣り合い式から計算→C、D点での切断位置で応力の仮定をし、反力を求める
(乗り換え駅③)反力を求める→ まず反力の向きを仮定する
このように目的地までの地図のように問題を解く上でのMAPを作って置くと、自分がまずなにをすべきかということとその後にすべきことをわかった上で計算を進めることができます。
重要Point 問題を解く前に答えから逆算して、問題を解く上でのMAPを作ると良い
これは構造力学だけでなく数学などの論理的に考える問題全てに通ずる考え方なのでしっかり身につけていきましょう。
さて、実際に逆算していったことで反力の向きを仮定して求めていくことから始めればいいことがわかりましたのでさっそくやっていきましょう。
![](https://0gakublog.com/wp-content/uploads/2021/03/image41-1.png)
図のように仮定し、反力を求めていきます。
X方向の釣り合いより、HB=2.0kN
Y方向の釣り合いより、VA+VB=4.0kN
ここでモーメントの釣り合いを求めるのですが、A点ではなくB点での釣り合いを考えます。
これはB点での釣り合いを考えることでD点にはたらく4.0kNを考える必要がなくなり、計算が簡単になるからです。
Point モーメントの基準となる点は計算が楽になるところを探すとよい
B点周りのモーメントの釣り合いより、
2.0kN × 2m + VA × 4m =0
VA=-1kN となります。
VAは-1kNとなったので、下向きに1kNとなります。
![](https://0gakublog.com/wp-content/uploads/2021/03/image38-1.png)
反力が求まったので、次にC点で切断した時の応力の仮定をしましょう。
![](https://0gakublog.com/wp-content/uploads/2021/03/image39.png)
モーメントだけを求めれば良いので軸力Nとせん断力Qは省略してOKです。
C点周りでのモーメントを考えれば良いのですが、軸方向の力しかないので今回はM=0となります。
次にD点での切断位置を考えましょう。
![](https://0gakublog.com/wp-content/uploads/2021/03/image40.png)
こちらもモーメントだけを求めれば良いので軸力Nとせん断力Qは省略してOKです。
D点周りの釣り合いより
2.0kN × 2m – M =0
M=4.0kN・m
よってMC=0、MD=4.0kN・m となります。
問題の答えには必要ありませんが、応力図は以下のようになります。
![](https://0gakublog.com/wp-content/uploads/2021/03/image41.png)
集中荷重ではモーメントが直線的になること、MC=0、MD=4.0kN・mであることを踏まえると、このようにXm離れたところでの切断面を考えなくても簡単に応力図を描くことができるので覚えておきましょう。
Point ポイントとなる数箇所の応力を求めるだけで全体の応力図を描くことが出来る
まとめ
いかがでしたか?今回はラーメン架構の例題を用いて実践に近い問題を解いていきました。
ラーメン架構でも今までの単純梁と同じ手順で解くことができましたね。
問題を解く前に必ず逆算しながら問題を解く道筋を思い浮かべることで、問題の難易度は下がり、自分がなにをすべきか理解しながら解くことができます。
問題を丸暗記する場合や闇雲に解き始める場合に比べて効率よく問題が解けるようになって行きます。どんな問題にも通じる考え方なのでしっかりと毎回の問題で考えるようにしていきましょうね。
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