3ヒンジラーメンの応力とは?

構造

前回は初めて実践形式でラーメン架構の応力を求めていきましたね。

今回もラーメン架構なのですが、少し応用的な3ヒンジラーメンと呼ばれるパターンの問題になりますのでポイントを抑えてしっかり理解していきましょう。

3ヒンジラーメンとは

最初に3ヒンジラーメンのモデル図を見てみましょう。
今回はこの3ヒンジラーメンのC点、D点でのモーメントを求めていきます。

まず3ヒンジラーメンの図を前回の普通のラーメン架構を思い出してどこが違うか比較してみてください。(忘れてしまった方はこちら)

あれ?前回のラーメン架構と全く一緒じゃない?と思ったあなた

よーく見てみてください。

真ん中に白丸のようなものがありますよね?これこそが今回のポイントであるヒンジなのです。

ヒンジとは…
部材と部材の節点の形式のことでモーメントを負担しないのが特徴です。

モーメントを負担しないということはヒンジを中心に回転するということでしたね。

A支点やB支点もモーメントを負担しないので、合わせて3ヒンジラーメンということですね。

もう一つ前回と違う点がありますが気づきましたかね?

それは、支点が2つともピン支点になっているということです。

それがなんだという人もいると思いますが、これは問題を解く上で非常に面倒くさいのです。

反力の仮定をするとこのようになります。

ローラー支点では横に滑るために横方向の反力がなかったのですが今回、ピン支点になっているということは、横方向に反力が出てきてしまうために、HAという未知数が一つ増えたということなのです。

ここで覚えておいて欲しいポイントがあります。

Point
条件式の数は求めたい未知数の数以上でなればならない

これ意外と知らない人が多くて、条件式の数が足りていないのにも関わらず式を永遠とこねくり回して変形した挙句、「答えがでなーい(;_;)」と嘆いている人をたくさんいます。

今日以降はそういう失敗は起こさないようにしましょうね。

さて、今までは求めたい未知数の数3つに対して、X方向とY方向の釣り合い式とモーメントの釣り合い式の3つの条件式ができたため反力を求めることができましたが、未知数4つの場合はそれができません。

しだがって条件式を一つ追加してあげないといけないということになるのです。

ここで注目したいのが、今回意味深に出てきたヒンジです。

これを使ってくれよと言わんばかりですよね?

ということで、ヒンジを使って条件式を立てましょう。

ヒンジはモーメントを負担しないという特徴があるのでヒンジ周りでのモーメントが0になるという条件で式が立てられそうですね。

問題解説

問題の道筋

さて3ヒンジラーメンがどのようなものかわかったところで実際にC点、D点のモーメントを求めていきましょう。

問題を解く際には答えから逆算して道筋を考えて行くんでしたよね?
今回の道筋は逆算してざっくりとこんな感じです。

 ①C点、D点の応力を求める

→②C点、D点で切断して応力を仮定する

→③支点反力を求める ←今回の山場

④反力の仮定

ゴールから逆算することで④反力の仮定から順に進んでいけば良いことがわかりました。

更に、道筋を立てたことで③支点反力を求めるにおいて、ヒンジから4つ目の条件式を立てて、未知数4つに対応するというポイントがこの問題の山場ということがわかりますね。逆に言うと、支点反力さえ求めてしまえばあとはいつも通りということがわかりました。

支点反力の仮定→支点反力を求める

さてまずは支点反力の仮定からです。
先ほどの3ヒンジラーメンの説明時のように仮定します。

次に反力を計算して行きましょう。

まずはX方向の釣り合いより、 HA+HB=2.0kN

Y方向の釣り合いより、 VA+VB=4.0kN

B点周りのモーメントの釣り合いより、

2.0kN × 2m + VA × 4m =0

VA=-1.0kN

したがってVB=5.0kN となります。

このままだとHAとHBがわからないので、ヒンジを中心としてモーメントの釣り合いを考えます。

HA × 2m – 1.0kN × 2m = 0

HA=1.0kN となり

したがって、HB=1.0 となる。

このように、条件式を追加で考えることで反力を求めることができましたね。

次は応力を求めていきましょう。

応力の計算

反力が求まったので次に、C点およびD点での切断位置を考えて応力を仮定し、それぞれのモーメントを計算していきましょう。

C点で切断した位置での応力を仮定する。

C点周りのモーメントの釣り合いより、

1.0kN × 2m – M = 0

M=2.0kN・m となる

次にD点で切断した位置でのの応力を仮定する。

D点周りのモーメントの釣り合いより、

1.0kN × 2m – M = 0

M=2.0kN・m となる

したがってMC=2.0kN・m、MD=2.0kN・mとなる。

どうしても構造力学が苦手、実際に問題を解きながら勉強したいという人は以下の書籍を参考にするのもおすすめです。

まとめ

・3ヒンジラーメンは通常のラーメン架構に比べて部材にヒンジがあり、支点がピン支点となっている

・未知数が4つの時には条件式も4つ必要となる

・ヒンジにはモーメントが生じないのでM=0という条件式を立てることが出来る

いかがでしたか?今回は3ヒンジラーメンを解説していきました。通常よりも難易度が高かったと思いますが、ポイントを押さえて反力され出してしまえばあとはやるべきことはシンプルなはずです。未知数と条件式の関係も非常に大切な考え方になってくるのでしっかりと抑えていきましょうね。

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