耐火建築物等にしなければならない特殊建築物とは?

法規

こんにちは、今回は一級建築士試験の法規において複雑な耐火建築物等にしなければならない特殊建築物について学習していきましょう。

はっきり言って、一番わけわかんない範囲だよー

一つ一つ丁寧に解説していくから安心してついてきてね!

はじめに

まずはじめに、概要を今回学習する内容は27条1項と27条2.3項で大きく分かれます。

ざっくりとしたイメージは

27条1項は性能規定と言って、主要構造部を1時間準耐火や耐火構造を持った性能以上にしてね。

27条2.3項は準耐火建築物や耐火建築物といった決まった仕様にしてね。といった違いです。

といってもよくわからないと思うし、違いをはっきりわかる必要もないので、

27条1項は告示を引かないといけない

27条2.3項は告示引かなくてもいいから少し楽チン程度に考えといて!

性能規定

まずは元の条文の概要から理解していこう。

(耐火建築物等としなければならない特殊建築物)

第27条 次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、その主要構造当該特殊建築物に存する者の全てが当該特殊建築物から地上までの避難を終了するまでの間通常の火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために主要構造部に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとし、かつ、その外壁の開口部であつて建築物の他の部分から当該開口部へ延焼するおそれがあるものとして政令で定めるものに、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が遮炎性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を設けなければならない。

1号から4号に該当する特殊建築物は主要構造部基準を満たすように国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの(告示)国土交通大臣の認定を受けたもの(認定)とし、かつ延焼のおそれのある部分に防火設備を設けなさいということです。

一級建築士試験では認定は出題されないから告示だけを解説していくよ!

まずは1号から4号の各号に該当する特殊建築物がどのようなものか見ていこう。

27条1項1号(階数)

一 別表1第(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供するもの階数が3で延べ面積が200㎡未満のもの(同表(ろ)欄に掲げる階を同表(い)欄(2)項に掲げる用途で政令で定めるものに供するものにあつては、政令で定める技術的基準に従つて警報設備を設けたものに限る。)を除く。

1号では、階数によって該当するかを定めています。階数が高い建物の方が建物として基準が厳しくなるのはわかると思います。

別表1の1項から4項の3階以上の建物が該当します。

ただし、3階建ての200㎡未満のものは除かれているので注意が必要です。(3階建て以上ではない)

階数高いと基本的には耐火建築物等にしないとだけど、3階建てで面積も小さいなら見逃すよって感じだね!

27条1項2号(面積)

 別表第1(い)欄(1)項から(4)項までに掲げる用途に供するもので、その用途に供する部分(同表(1)項の場合にあつては客席、同表(2)項及び(4)項の場合にあつては2階の部分に限り、かつ、病院及び診療所についてはその部分に患者の収容施設がある場合に限る。)の床面積の合計が同表(は)欄の当該各項に該当するもの

2号では、主に面積によって該当するかを定めています。これも1号と同様で面積が大きいほど制限が厳しくなるのはわかると思います。

表で確認してみましょう。

各用途ごとに面積が決まっており、(2)と(4)項に関しては2階という条件があることに注意です。

劇場とかに関しては、客席の面積じゃないとだめなんだね。

裏方部分とかの面積が大きくても意味がないってことか。。。

正直覚えるのは大変だから、下の写真のようにぱっと見でわかるように法令集を色分けしておくといいよ!

色ごとに見るところがはっきりしてわかりやすいね!

法令集のカスタマイズ重要だなあ。。。

27条1項3号・4号

 別表第1(い)欄(4)項に掲げる用途に供するもので、その用途に供する部分の床面積の合計が3000㎡以上のもの

 劇場、映画館又は演芸場の用途に供するもので、主階が1階にないもの(階数が3以下で延べ面積が200㎡未満のものを除く。)

3号・4号は条文のとおりとなるので解説の余地はほどんどナシです。

<br>

基本的には特殊建築物は1号(階数)か2号(面積)に該当してくるんだけど、

別表(4)項の用途や劇場系の用途の時は3.4号に該当する可能性があるんだなー程度で頭に入れておきましょう。

該当する特殊建築物がわかったところでどんな基準に適合するようにすればいいのかを見ていきましょう。

主要構造部の基準

主要構造部の性能に関する基準については令110条に記載されています。

法文からの詳しい理解は必要ないですが、どんなものかを頭に入れておきましょう。

  1. 加熱を開始してから特定避難時間が経過するまでの間、所定の非損傷性遮熱性遮炎性があること(告示)
  2. 耐火性能(令107条)又は耐火性能検証法(令108条の3)の基準に適合すること

この基準については、1.2のどちらかを満たしていればOKです。

1.の特定避難時間とは、建物の用途や規模によって想定される避難時間のことです。

特定避難時間と言いつつ、具体的な数字で何時間という数字が入るわけではなく、

3階建ての学校なら1時間準耐火構造の基準でOK

2階建て以下で2000㎡の学校なら準耐火構造の基準でOKのように具体的な用途・規模が告示で定められています。

1.の基準を満たした建物を特定避難時間倒壊等防止建築物というんだけど、

耐火・準耐火建築物と特定避難時間倒壊等防止建築物別物だから注意してね!

2.の基準はそのまま耐火建築物の基準と同様です。

耐火建築物の基準を忘れた人が復習してみてください。

耐火建築物とは?耐火関係の用語から徹底解説【一級建築士試験】
一級建築士試験で頻出の耐火建築物について学習していきます。法文から読み取る力をきちんと身につけて行きましょう。

つまり、ニュアンス的には無難に耐火建築物にするか、告示を利用して特定避難時間倒壊等防止建築物とすることによって、建物の用途や規模によって耐火建築物よりゆるい基準に出来る可能性があるといった感じです。

どっちの基準でもいいよってのが、耐火建築物ってことなんだね!

告示

全体の構成とともに告示の内容を見ていきましょう。

一級建築士試験では、27条1項1号から4号に該当する場合には、告示を確認しましょう。

告示1項の1号から3号に該当すれば準耐火

でOKですが、告示1項に該当しない場合は告示2項の適用で耐火建築物になりますね。

どんな建物が告示1項の1号から3号に該当するか確認しましょう。

告示1号

27条1項2号に該当する場合、準耐火構造にすることができます。

ただし、他の号(27条1項1.3.4号)に該当する場合と、27条1項2号でも集会場等の場合は除かれます。

3.4号に該当することはほとんどないので、27条1項1号に該当するかどうか、つまり3階建てかどうかを確認すれば良いです。

27条1項2号に該当すれば準耐火構造だけど、3階建て以上は耐火建築物

告示2号

3階建ては耐火建築物にしなければならないという話でしたが一部例外があります。

地階を除く階数が3で、3階を下宿、共同住宅又は寄宿舎の用途に供するもの

これらは、3階建てだけど、耐火じゃなく1時間準耐火でOKという緩和になります。

告示3号

告示2号と同様で3階でも耐火にしなくて良いという、条文です。

地階を除く階数が3で、3階を法別表第1(い)欄(3)項の用途に供するもの (学校など)

つまり、3階建て以上なら、耐火建築物

3階でも共同住宅や学校等なら1時間準耐火

27条1項2号に該当するなら準耐火構造ということだね。

仕様規定

27条1項の性能規定と違って27条2.3項の仕様規定は具体的に耐火建築物としなさい。準耐火建築物にしなさい。といったものになります。

27条2項

 次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、耐火建築物としなければならない。

 別表第1(い)欄(5)項に掲げる用途に供するもので、その用途に供する3階以上の部分の床面積の合計が同表(は)欄(5)項に該当するもの

 別表第1(ろ)欄(6)項に掲げるを同表(い)欄(6)項に掲げる用途に供するもの

これを言い換えるとつまりは以下のとおりです。

  • 倉庫を3階建て以上、200㎡以上とする場合、耐火建築物としなければならない
  • 自動車車庫を3階建て以上とする場合、耐火建築物としなければならない

先ほどの27条1項と違い、耐火建築物の指定があることに注意です。

先ほどの別表1の写真のように色分けでわかるようにしておきましょう。

(1)から(6)項とも、3階建て以上の時は耐火の要求が発生するんだね!

27条3項

 次の各号のいずれかに該当する特殊建築物は、耐火建築物又は準耐火建築物(別表第一(い)欄(六)項に掲げる用途に供するものにあつては、第二条第九号の三ロに該当する準耐火建築物のうち政令で定めるものを除く。)としなければならない。

 別表第1(い)欄(5)項又は(6)項に掲げる用途に供するもので、その用途に供する部分の床面積の合計が同表(に)欄の当該各項に該当するもの

最後は3項です。これは階数などの条件なしに単純に面積で決められています。

  • 倉庫を1500㎡以上とする場合、耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない
  • 自動車車庫を150㎡以上とする場合、耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない
  • まとめ

    • (ろ)欄に該当する場合(3階建て以上)  耐火建築物(3階の共同住宅・学校等は1時間準耐火)
    • (は)欄に該当する場合 準耐火建築物(集会場等は覗かれるので注意)
    • (に)欄に該当する場合 準耐火建築物耐火建築物

    ただし書きで除かれているものに注意!

    コメント

    タイトルとURLをコピーしました