一級建築士試験【耐火構造について解説】

法規

今回は耐火構造について詳しく学習していきましょう。この記事の解説を読みながら法令集を確認することによって、読みづらい耐火構造の内容を暗記をするのでなく、条文を読んだときに文章から書いてある内容を理解する力を身に付けることができます。

暗記しているだけだと忘れたらアウトなのに対して法文から理解出来る力は、法令集の持ち込みが可能な法規の試験において、解答を持ち込んでいるのと近い状態になります。ぜひ身につけていきましょう。

法文から読む

 耐火構造 壁、柱、床その他の建築物の部分の構造のうち、耐火性能(通常の火災が終了するまでの間当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために当該建築物の部分に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合する鉄筋コンクリート造、れんが造その他の構造で国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。

まずは耐火構造の概要をつかむためにマーカー部のみを読んでみてください。

耐火構造とは、壁、柱、床などのうち耐火性能に関して技術的基準に適合する構造国土交通大臣が定めた構造方法を用いるか国土交通大臣の認定を受けたもののことをいいます。

技術的基準に適合する構造にさえなっていれば、 国土交通大臣が定めた構造方法国土交通大臣の認定を受けたもの どちらでも良いのです。

では、技術的基準に適合する構造 とは何かを見ていきましょう。

技術的基準に適合する構造

技術的基準を満足するには令107条の一号から三号で定める次の3つの性能を満たす必要があります。

①非損傷性(107条一号)

 次の表に掲げる建築物の部分にあつては、当該部分に通常の火災による火熱がそれぞれ次の表に掲げる時間加えられた場合に、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。

非損傷性とは通常の火災においてある程度の時間損傷が生じないものだと言えるね

次の表を見ながら10階建てのビルの6階の柱を例に考えてみましょう。

上の階から数えると10,9,8,7,6と、上から5番目の階にあたるので表の5~14階に該当します。

よって10階建てのビルの柱は3時間以上構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じなければいいのです。

②遮熱性(107条二号)

 壁及び床にあつては、これら通常の火災による火熱が一時間非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分にあつては、三十分間加えられた場合に、当該加熱面以外の面屋内に面するものに限る。)の温度が当該面に接する可燃物が燃焼するおそれのある温度として国土交通大臣が定める温度(以下「可燃物燃焼温度」という。)以上に上昇しないものであること。

またもや黄色マーカ部分だけを読んでざっくり理解していきましょう。

壁と床に1時間火熱が加えられた際に加熱面以外の面がある温度より上昇しなければいいんだね

カッコ内の青マークしたところは試験でたまに出るポイントなのでより詳しく見ていきましょう。

通常遮熱性については1時間ですが、延焼のおそれがない部分の非耐力壁は30分でいいので注意が必要です。

また、遮熱性については屋内面に限っての話なので注意しましょう。

全部頭に入れる必要はないですが、時間についてと屋内外で引っ掛けてくるということを覚えておきましょう。

はっきり覚えてなければ、法令集を引いて確認すればいいだけなのです。

③遮炎性(107条三号)

 外壁及び屋根にあつては、これら屋内において発生する通常の火災による火熱が一時間非耐力壁である外壁の延焼のおそれのある部分以外の部分及び屋根にあつては、三十分間加えられた場合に、屋外に火炎を出す原因となるき裂その他の損傷を生じないものであること。

またもや黄色マーカ部分だけを読んでざっくり理解していきましょう。

外壁と屋根に1時間火熱が加えられた際に屋外に火を出さなければいいんだね。

遮熱性と同様に延焼のおそれのない非耐力壁は30分、屋根はいつでも30分なので注意しよう。

また、屋内の火災を外に出さない性能なので、屋外の火災は関係ない事にも注意しよう。

以上紹介した3つの性能を満たすと耐火性能を持っていることになるね。

国土交通大臣が定める構造方法と認めたもの

国土交通大臣が定めた構造方法は技術的基準を満たすように決められた告示による内容で、国土交通大臣が認めたものはメーカーなどが受けている大臣認定品だから、一級建築士の試験では出ないんだ

告示の内容までは試験に出ないんだったね。技術的基準がどんなものかだけ押さえればいいんだね

まとめ

耐火構造とは、壁、柱、床などのうち耐火性能に関して 技術的基準に適合する構造国土交通大臣が定めた構造方法を用いるか国土交通大臣の認定を受けたもののことをいう。

技術的基準に適合する構造 とは、施行令107条の非損傷性、遮熱性、遮炎性を有するもの

国土交通大臣が定めた構造方法国土交通大臣の認定を受けたものは告示で定めた内容や大臣認定品であり、試験では出ない。

したがって、耐火構造とは 壁、柱、床など で非損傷性、遮熱性、遮炎性を有しているものである。

コメント

  1. 佐々木 弘 より:

     はじめまして、私は引退まじかの一級建築士です。(1953年生まれ)
    私の受験時代の頃を思い返して拝見していました。

     他のYou_tube動画やブログの出典等、と比較しても開示内容が的を得ていると感じました。
    Pointの押さえ方に無駄がないなぁと感じました。

     お若い年齢の構造設計技術屋さんが、頑張っていいるブログを応援したいですネ。
    私は毎日”引退前の学び直し”⇒ 構造力学を重点的にYou _Tube で印象付けをしています。
     本ブログ解説者の若さに刺激を受けながら、もう少し学習を続けたいと考えます。
    どうぞ、いい情報を提供して下さい。
     
     ブログ解説者の方有難うございました、頑張ってください。失礼いたします・・・
     

    • 佐々木 弘 より:

      佐々木 弘 より:
      あなたのコメントは承認待ちです。
      2023年1月10日 6:48 AM
       はじめまして、私は引退まじかの一級建築士です。(1953年生まれ)
      私の受験時代の頃を思い返して拝見していました。

       他のYou_tube動画やブログの出典等、と比較しても開示内容が的を得ていると感じました。
      Pointの押さえ方に無駄がないなぁと感じました。

       お若い年齢の構造設計技術屋さんが、頑張っていいるブログを応援したいですネ。
      私は毎日”引退前の学び直し”⇒ 構造力学を重点的にYou _Tube で印象付けをしています。
       本ブログ解説者の若さに刺激を受けながら、もう少し学習を続けたいと考えます。
      どうぞ、いい情報を提供して下さい。
       
       ブログ解説者の方有難うございました、頑張ってください。失礼いたします・・・

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