一級建築士取得のメリットとデメリットは?【一級建築士が思う3選を紹介】

全般

今回は一級建築士を取得するかどうか迷っている人に向けて、私が思う一級建築士取得のメリット・デメリットの3選を紹介していきたいと思います。

取得するかどうかを結論から言うと、これから紹介するメリットとデメリットを比較して、メリットの方が大きい人やデメリットをうまく改善できる人は取得したほうがいいと言えます。

みなさんもこの際に今後の人生プランにおいて一級建築士の取得が必要かどうかを考えてみてください。

メリット3選

まずはメリットを見ていきましょう。

すべての建築物を設計することが出来る

やはり一級建築士を取得する一番の理由はこれにつきますよね。

下の表を見てください。一級建築士や二級建築士で建築可能な建物がのっています。

公益財団法人 建築技術教育普及センターより引用

https://www.jaeic.or.jp/shiken/k-seidozenpan/kusyu.html

表を見てわかるように二級建築士などは設計出来る建物に制限があり、住宅規模程度の建物しか設計できないのに対して一級建築士は設計出来る建物に制限がありません。

仕事で規模の大きい建築物を取り扱っている人や、将来的に規模の大きい建築物の設計をしたい方、ある特定の用途を設計したい、工事監理したい方にとっては魅力的なのではないでしょうか。

ただし、設計することができないといっても実際には、以前私が勤めていた会社のように上司などの一級建築士の名前を借りて、資格を持っていない人が作業をしているといった現状でしたので、必ずしも必須とは言えないかもしれません。

自分の名前で建物を設計したいという人にとってはやはり資格取得が必要だと考えられます。

権威性を持つことが出来る

これは例えば、営業さんなんかだと実際の設計業務には関係してなくても一級建築士を持っている事によって、取引先からしてみると「この人は一級建築士を持っている人なんだ」という風にみられますよね。その分やはり、仕事やプライベートでも有利に働くことがあると思います。

私の場合、一級建築士を取得する前にはよく某資格学校からの営業の電話等がよくかかってきました。

「うちの講座だと合格率が高いのが売りで、他の学校よりも合格率が高いので一級建築士の資格を取りやすいですよ。」みたいな。

当時の私からすると、資格が取りやすい?じゃあまずは自分が資格とってから電話してこい!って思ってました(笑)

これが一級建築士を持っている人からの電話だとまた説得力が違いますよね。このように資格を持っていることによって、世の中からの見られ方や会社での評価にもつながると思います。

みなさんも一級建築士の勉強をするのに、一級建築士を持っていない人の講義を受けたいとはおもいませんよね?

年収が増える

私が建築士を取った理由はこれです(笑)

一級建築士をとることによって、企業によって違いますが、資格手当が出ることがあります。

毎月の給料が10000円~50000円程度増えるというのが一般的なようです。

これには勤めている会社によって、だいぶばらつきが大きいですがもし毎月の給料が50000円増えるとしたら、1年で600000円もプラスでもらえるのでだいぶでかいですよね!

参考までに一級建築士の平均年収は従業員規模10人から99人の会社で642万円ほどであり、さらに会社規模が大きくなればなるほど平均年収額は大きくなり従業員規模1000人以上の会社だと800万になります。

平均年収額=きまって支給する現金給与額 × 12 + 年間賞与その他特別給与額 として計算

https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-08-02.html

一般の平均年収と比較すると約200万円も差がありますね。

必ずしも一級建築士を取得すると年収が高くなるわけではありませんが、高くなる傾向にあるのは間違いないですね。

デメリット3選

次にデメリット3選を見ていきましょう。

資格取得に時間とお金が掛かる

一級建築士を取得する場合、今でも多くの方が学校へ通学しています。

学校に通う場合には講座の費用はとても高くホームページで見たところ、一般的な1年通学するコースで考えてみると学校Sでは学科+製図で160万円、学校Nでは学科+製図で126万程度掛かることがわかります。実際にはここにオプション講座のようなものを追加で受ける形になり、さらに掛かると思われます。

1回で受かる場合はまだしも必ずしも1回で受かるとは限らないので、その場合にはさらにお金がかかってしまいます。

また、講座の費用だけじゃなく受験料+免許申請でも10万近くのお金が飛んでいきます(;_;)

次に時間についてです。一級建築士は国家資格の中でも難易度はかなり上位の部類です。

令和2年度の一級建築士試験の合格者は以下のようになります。

毎年かなり多くの受験者が受験していますが、合格率は10%前後です。

一級建築士の資格を取得するにはライバルたちよりも多くの努力が必要になってきます。

一級建築士の資格を取得するには平均1000時間~1500時間程度必要になるらしいのですが、これには個人差によってかなり大きく差が出てくるし、実際に測った人がいる等の根拠がないためあまり参考にはならない気がします。

おそらく他の国家資格と比較した時の難易度から想定する時間や、あとは学校の講座の時間と宿題や自宅学習を考慮した時間などが一般的に言われていたりするのでしょうか…?

いずれにしても多くの時間を勉強に割かなければいけないことがわかります。

この膨大な時間とお金をかけた時に最終的に自分にとってプラスになるのかマイナスになるのかをしっかり考える必要があるでしょう。

実際に皮算用ですが試算してみましょう。

実際に以前私が以前勤めていた会社の一級建築士の資格手当月1万円でしたので1万円とし、一級建築士を取得するのに仮に170万円かかった場合を考えてみましょう。

毎月1万円をもらえるということは、170万円をもらえるまで170ヶ月掛かるという事になります。

170ヶ月/12=14.16年

170万円を資格手当だけで返済するのに、14年近くもかかってしまうことがわかります。

さらに30歳で一級建築士を取得したとし、60歳まで働くとすると、14年たった後残り16年働くことになります。

16年 × 12ヶ月/年=192ヶ月 →192万円

資格を取るのに、1250時間かかってるとすると、

192万円/1250時間=1536円/時

ぼちぼちといった感じでしょうか。

実際には講座の金額もローンを組んでればもっと高くなるだろうし、勉強時間は人によって異なり、資格が取れる年もバラバラですが上記のような例でシミュレーションするとこのような結果になりました。

一級建築士を取得したにも関わらず資格手当が出ない人にとっては転職も視野に入れる案件ですね。

将来的にお金に関してはプラスにはなる可能性もありますが、貴重なお金と時間を使う事になるのでしっかりと考えて行く必要がありそうですね。

独学で学ぶ

お金や時間をかけない方法としては別の安い学校で学ぶといった方法や、独学で学ぶといった方法があります。

私のおすすめとしては、教材だけを手に入れて基本は独学、わからないところだけをネットで調べたり
会社の先輩などに質問するといった方法が効率がいいと思っています。

ネットなどを用いた独学のいい点は、得意な単元や理解しているところは、自分で取捨選択することである程度飛ばしながら勉強できるし、わからないところは自分で詳しく解説などを見ることができます。

それに比べて学校では、自分だけの授業ではないので得意なところも授業なので聞かなければならないし、苦手なところはさらっと流されてしまう可能性もあります。

金銭的な面から見ても独学の方がお金もかなり節約することが出来るので個人的には学科試験は独学で全く問題ないと思います。

しかし、学校に通うメリットも1つあるとわたしは思っていて、それは同じ志を持った仲間とともに勉強出来るということです。これは一緒に頑張る人が居ることで心の支えにもなるし、競争心からモチベーションにもつながると思います。

どのように学習していくかは自分にあった方法をきちんとかんがえてみてくださいね。

ぜひ、このブログでの記事も学習の参考にしてくださいね。リンクはこちらから

仕事の責任が重くなる

今までは上司の名前で外に出ていた設計業務も一級建築士を取得すると自分の名前で判子を押して、外に出ていくために、建物になにかがあったときのは自分の責任になってしまいます。

もちろん人が住んだり日常的に使うものなわけですから、人命に関わることだってあります。

2005年に構造計算書の偽装事件がありましたが当然偽装した方は罰せられました。
もちろん故意に違反するのは論外ですが、故意ではないにしろ何か問題があれば当然罰則や過料などになりうる可能性だってあります。

このように、一級建築士は自分の設計したり工事監理した建物に対してきちんと責任をもつ必要があり、仕事をする上でプレッシャーになることもあるでしょう。

また、一級建築士を取得することにより、以前より仕事を任されることにもなるために仕事は確実に忙しくなるでしょう。

プレッシャーを感じながら仕事をしたい人や、忙しい方がいいバリバリの建築士であれば、デメリットとはなりませんが、責任が重くなることは一級建築士を取得する上で頭に入れておきましょう。

実務には直接役立たないこともある

一級建築士の学科試験は計画、環境・設備、法規、構造、施工の5科目125点満点の試験です。

そのため建築に関わる知識を幅広く学ぶ必要があります。

もちろん様々な知識をつけて、全てに精通している建築士は素晴らしいのですが、例えば構造設計を仕事でやっている人にとっては、一部の設備の知識は実務では全く役にたたないということもあるでしょう。

少なくても私はそうでした・・・

そのため、一級建築士を持っている人よりも一級建築士を持っていない人の方が仕事が全然出来るといったこともざらにありました。そのくせ一級建築士は持っていてあたり前という謎の風潮すらあるという状況でした。

また、製図試験は手書きの試験になります。今の時代に手書きで図面を書いて納品している人なんていないでしょう。製図試験に受かるために多くの時間を裂きますが、基本的には試験に受かるための勉強であり、私自身は製図試験の勉強をした結果、仕事に活きたと思うことはありませんでした(笑)

まとめ

メリット
・すべての建築物を設計することが出来る
・権威性を持つことが出来る
・年収が増える
デメリット
・資格取得に時間とお金が掛かる
・仕事の責任が重くなる
・実務には直接役立たないこともある

いかがでしたでしょうか?今回は一級建築士を取得するメリットとデメリットについて紹介していきました。メリットとデメリットがいくつかありましたがそれぞれ比較してみて、自分にとってどっちが得になるかを考えていきましょうね。

今回はここまでです。ありがとうございましたー!

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